初心者におすすめの辛口日本酒5選

日本酒と枡

ドライでキレのあるすっきり飲みやすい辛口の日本酒

日本酒でいう辛口とは、「スパイシー」な味わいのことではなく「ドライ」、つまり甘くない味わいのことを指します。

日本酒を造る工程では、お米のでんぷんを麹菌の力を借りて糖に変え、さらにその糖を酵母菌の力でアルコールに変換します。

この時、アルコールに変換されて消費される糖の割合が多くなるほど、甘さを感じにくい辛口のお酒になるのです。

ただ、辛口に感じられるお酒全てが低糖なわけではなく、他の味わい、特に酸味とのバランスや香りのタイプによって、本来よりも辛口と感じるものもあります。

辛口の日本酒は、飲み込んだあと味わいの余韻がすっと消える「キレのある」タイプが多く、甘口に比べてすっきりと飲むことができます。

暑い夏やお風呂上りなどさっぱりと飲みたいときや、甘味や強い香りに邪魔されず料理の味わいを楽しみたいときなどにおすすめのタイプといえます。

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初心者におすすめのおいしい辛口銘柄5選

酔鯨 特別純米酒

香りが控えめでしっかりとした酸味の感じられる、食中酒としても優秀なお酒です。 日本酒らしい旨味はちゃんと感じられますが、しつこさや酒臭さはまったく無く、するすると飲めてしまいます。

ポイントはこの蔵のお酒の特徴でもあるしっかりと乗った酸味。 フレッシュな酸が全体を引き締めることで、旨味やアルコール感が残ることなくきりっとした辛口の味わいに仕上がっているのです。

冷や(常温)やぬる燗はもちろん、バランスが良いので冷酒や熱燗でも味が崩れずおいしく飲むことができます。

日常使いのお酒として気軽に飲めるお手ごろな価格帯も、初心者にとって大きな魅力のひとつといえるでしょう。

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一ノ蔵 無鑑査 本醸造 超辛口

アルコールの味や刺激を前面に押し出した、色々な意味で「甘くない」銘柄です。

一ノ蔵の無鑑査シリーズは、「鑑査ではなく飲んだ人が価値を決めるべき」という考えに基づいて作られた、昭和から引き継がれているロングセラーシリーズ。

昔のお酒らしい骨太な味わいのものが多いのですが、その中でもこの「超辛口」は一般的な辛口とは一線を画すアルコールっぽさが感じられる銘柄です。

まったく甘味を感じない超ドライな口当たり、舌にびりっとくるような刺激、そしてウォッカやウイスキーのような、かなりはっきりとしたアルコールの苦味が特徴となっています。

しかし、ただアルコール臭い粗雑なお酒とは異なり、苦味や刺激の奥にちゃんと日本酒らしい旨味やコクが感じられます。

正直なところかなり人を選ぶ味わいで、日本酒が苦手な人にはあまりおすすめできないお酒ではあるのですが、慣れてくると癖になるような独特のおいしさがあります。

普通の日本酒の柔らかな口当たりでは物足りない方、がっつりとしたアルコールの刺激を求めている方は、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

なお、同じ「一ノ蔵 無鑑査」シリーズには、超の付かない「辛口」というラインナップもあります。

こちらはまだマイルドで飲みやすい味わいになっていますので、超辛口だときつすぎた場合はそちらを試してみてください。

朝日酒造 久保田 千寿

全国的にも有名な「久保田」の中の、特に辛口に特化した銘柄です。

「久保田」は、しっかりとした味と香りながら飲みやすいバランスの良さで知られ、日本最大の酒造地である新潟県の中でももっとも知名度のあるお酒のひとつに数えられます。

日本酒好きはもちろん、普段日本酒をあまり飲まない方でもおいしく飲める、澄んだ水とお米のおいしさを凝縮したような上品な味わいが最大の特徴です。

そして、「千寿」は久保田シリーズの中でも一番シンプルですっきりとした辛口。

ひっかかりのない飲み口は、初心者でも抵抗なく飲みすすめられる程です。

辛口の日本酒がブームになった際には、あまりの人気に全国的に品薄になり、一時期は定価の十倍以上というプレミア価格で取引されたこともありました。

現在では流通量も安定し購入できないほどの過熱状態からは脱していますが、いまでも根強い人気を誇っています。

すっきり辛口ながらちゃんと日本酒らしい旨味も持っているので、冷酒から冷や、燗をつけて、とどんな温度帯でも楽しむことができます。

青木酒造 雪男 純米酒

きりっとシャープな味わいが楽しめる、一般的なイメージ通りの辛口日本酒です。 青木酒造は、日本を代表するお米の産地である新潟県南魚沼市に位置する蔵で、通常はお米の旨味を生かした「端麗旨口」の酒造りを行っています。

しかし、この「雪男 純米酒」はあえて新潟らしい辛口に造った銘柄で、数字が大きくなるほど辛口に寄っていることを示す指標である「日本酒度」は驚きの+12。 (一般的な辛口のお酒の日本酒度は+2~6前後)

雑味やきつすぎるアルコール感はほとんどなく、濃い味わいの料理と一緒にするとほとんど意識することなく、まるで水のようにするすると飲めてしまいます。

冷や(常温)ではすっきりした飲み口が、ぬる燗~上燗ではほのかなお米の旨味が楽しめるという、まさに「辛口日本酒」のイメージ通りの銘柄といえるでしょう。

神亀(しんかめ) 純米酒 辛口

しっかりとした日本酒らしい味わいの純米酒で知られる「神亀」の、スタンダードな辛口銘柄です。

神亀は古くから純米酒にこだわった酒造りを行っている蔵で、お米の味わいがしっかりと感じられる、飲み応えのあるお酒を造っています。

長い歴史に裏打ちされた技術の確かさは、他の蔵から杜氏や蔵人が修行に来るほど。 「神亀 純米酒 辛口」も、辛口でありながらも薄さや軽さはまったく無く、どっしりとした旨味を中心とした存在感のあるお酒です。

辛口のお酒に「ただドライなだけの飲み応えの薄い酒」という印象を持っていらっしゃるなら、ぜひ一度試してみてください。 辛口のイメージが大きく変わるかもしれませんよ。

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