日本酒用語  た行

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" た "

特定名称酒のうち、精米歩合が50%以下で吟醸造りで造られたもの。 雑味が非常に少なく、南国のフルーツなどにたとえられるような甘い香りと、繊細で複雑な味わいが特徴。 どのでももっとも手を掛けて作られるお酒で、価格も比例して高くなっている。

樽1

主に木材を加工して作られる保存用の容器。 日本酒の場合は主に杉などの針葉樹を使って作られるため、樽で貯蔵したお酒には木の良い香りが移る。 樽での流通がほぼ廃れた現代でも、結婚式や上棟式など神事に関係のあるイベントでは菰をかぶせた樽酒を使って鏡開きを行う習慣が残っている。

樽

貯蔵や輸送に、昔ながらの樽を使用したお酒。 樽の材料は杉材が使われることが多く、お酒にも独特のさわやかな香りが移る。

丹波杜氏1

日本三大杜氏のひとつ。 現在の兵庫県が源流で、厳寒期に農業のできない丹波から関西各地へ出稼ぎに出ていた農民が受け継ぎ伝えた技術が元となっている。 高い技術力と結束力から全国で高い評価を受け、関西を中心とした各地の地酒の形成に強い影響を与えたともされる。

" ち "

通常数ヶ月程度の熟成期間を、それよりも長く取ること。 一年程度のものから十年以上寝かせた古酒などもあり、具体的な決まりはない。

お椀や湯呑みを小さくしたような形状で、比較的小さいもの。 さまざまな材質で作られた製品があり、持ったときの感触や口当たりが異なるため、呑むお酒の酒質やシチュエーションに合わせて選ぶと楽しい。 真っ白で底に青い円が描いてあるものは「利き猪口」で、利き酒の際に日本酒の色や照りを評価するのに使用される。

  • ちろり、たんぽ

お湯に浸すなどして燗をつけるための器。 どちらも同じものを指し、関東ではちろり、関西ではたんぽという。 上部に向かって径が大きくなる不安定な形をしたものが主流で、燗をつけた後は別容器に移して提供されることが多い。

" て "

もろみを搾った後、貯蔵中の温度を下げてゆっくり時間をかけて熟成させること。 変化が緩やかになり、味わいや香りを狙った状態に仕上げやすくなる。 高温だけでなく振動や光など他の刺激も避けることが多く、機械的に低温を保った貯蔵庫を使用するほかに氷室貯蔵、雪下貯蔵、洞窟貯蔵などいろいろな形態の貯蔵を試している酒があり、それぞれ異なった特色をもつようになる。 手間も時間もかかるため大吟醸酒など高級酒に限って行っているケースが多い。

発酵中の酒母やもろみの温度を低く保ち、ゆっくり時間をかけて発酵させること。 雑実が少なく繊細な味わい、豊潤な香りを得やすいが、手間も時間もかかるため大吟醸酒など高級酒に限って行っているケースが多い。

アルコールがまわり、言動や思考に強い影響が見られる状態。 へべれけ、酩酊ともいう。 自身のアルコール分解能力を超えた大量の飲酒や急速な飲酒、また風邪薬などを服用した状態での飲酒により発生。 まっすぐ歩いたりただ座っているといった日常的行動が困難になる、感情の起伏が大きくなったり発露が激しくなる、意味の取れない発言をしたりコミュニケーションが困難になるなどの症状のほか、泥酔中にあったことや自身の言動を記憶できなるなることもままあるため、周囲からはあまり歓迎されない状態といえる。 事件、事故に巻き込まれたり信用をなくす可能性もあるため、特に外で飲むときには泥酔しないよう自制しよう。

テキーラ

メキシコを原産とする蒸留酒。 アロエをもっと大きくしたようなサボテン、竜舌蘭(りゅうぜつらん)を原料として造られる醸造酒を蒸留して造る。 独特の香りと心地よい苦味が特徴で、ロックやストレートのほかカクテルのベースにもよく使用される。

出羽燦

山形県産の酒米での酒造りをするために開発された米。 山形酵母と適合しやすく、寒さに強い、端麗な酒質を得やすいなど県内の酒の特徴を出しやすい特徴を持つ。

デンプン

植物が光合成によるエネルギーを貯蔵するために生成する、炭素と酸素と水素で構成された多糖類。 アミラーゼなどの酵素によって糖に分解される。 日本酒造りでは、米に含まれるデンプンを麹菌が酵素分解して糖にしたものを、麹米として利用する。

蔵の酒造作業全般を指揮する、技術面での責任者。 酒造りの時期だけ住み込みで働く出稼ぎのような形態をとる場合が多く、休造期間は別の仕事、特に農業に従事していることが多い。 地域ごとに異なる伝統や手法を持ち、優秀な技術が継承されている地域の杜氏集団は固有の名称で呼ばれる。 特に、南部杜氏越後杜氏丹波杜氏は、日本三大杜氏と呼ばれ、敬意を集めている。 近年では、高齢化や後継者不足により人数も減少傾向にあり、杜氏制自体を廃して社員による酒造りにシフトする会社も多く、技術の保護が急務となっている。

" と "

有形の文化的所産で、国にとって歴史上、芸術上、学術上価値の高いものを有形文化財、そのうち届出などにより文部科学大臣が文化財登録原簿に登録したものを登録有形文化財という。 これらの中から特に価値が高いもの、保護を必要とするものを「重要文化財」「国宝」として指定する。 日本酒業界においては、戦前から使用されている蔵や建物が多く残っており、それらが登録有形文化財として登録されているケースが多く見られる。 また、蔵元によっては蔵見学の際にそれらの建物を実際に見せてくれることもある。

精米歩合、原料、製法など特定の条件を満たした酒が名乗ることを許される名称。 本醸造酒、特別本醸造酒、純米酒、特別純米酒吟醸酒、大吟醸酒がある。

屠蘇

元旦に、一年間の無病息災を願って呑む薬酒の一種。 数種類の漢方や薬草を混ぜた「屠蘇散」を漬け込み、成分を溶かして呑む。かなり独特の香味がある。 本来は薬効の強い薬草類を使用するが、近年では分量を減らしたり配合自体を変えたりして、雰囲気だけを楽しむマイルドなものになっている。

陶器などでできた、首の部分が窄まった形状の容器。 1、2合程度のものが多いが、の代わりに酒を詰めて販売される大容量のものもある。 一升瓶が主流になる前は家庭向けの酒の販売は量り売りがメインであり、どの家にも購入した酒を持ち帰るための徳利があったという。 ちろり、たんぽとならび、燗をつけるのに最適な形状をしている。

どぶろく
明治以前まで、主に酒蔵以外で造られていた、搾っていない日本酒。 生米に炊いた米を加えて乳酸菌を呼び込む、口噛みの酒に近い工程を踏む。 現在では販売だけでなく製造も禁止されているが、お祭りや神事で以前から使用していたり、名物として販売していた地域では、その場で供する店に限り販売が許可されている。