「フルーティな日本酒」とは香味に果物を感じるお酒
「フルーティな日本酒」とは、読んで字のごとく「味や香りに果物のような印象を感じるお酒」のことです。
お米だけを原料とするはずの日本酒から果物のような味がするというのは、ちょっと不思議な感じがするかもしれません。
でも、自然な甘味や酸味、アクセントとなる渋味など、日本酒と果物には意外に共通する味わいが少なくありません。
また、アルコール発酵によって発生する香りの中には、リンゴやメロン、南国フルーツに似たものも含まれており、バランスによってはフルーツそのもののように感じるものも。
日本酒っぽさの薄いフルーティな銘柄は、一般的な日本酒があまり得意でない方や初心者の方にも飲みやすく、近年全国的に数を増やしてきています。
ここでは、その中でも特におすすめの5銘柄をご紹介いたします。
初心者にもおすすめのフルーティな銘柄
陸奥八仙 ピンクラベル 吟醸生酒
メロン、ベリー類、さくらんぼなど、色々なフルーツのニュアンスが楽しめる銘柄です。
「陸奥八仙」は、豊かで芳醇な香味を持つ日本酒として、全国的に高い知名度を誇る人気ブランド。
そしてこのピンクラベルは、特に普段日本酒をあまり飲まない女性にも楽しんで欲しい、というコンセプトで造られたお酒です。
日本酒くささや癖のある味わいはほとんど感じられず、口に含んだ瞬間から飲み込んだ後まで、様々なフルーツや花のような香りが表れます。
やや甘口ですがしつこさはなく、適度な余韻のあとにすっきりとしたキレも感じられるため、飲み疲れてしまうようなこともありません。
難しいことを考えずにふわふわとただお酒を楽しみたいときにも、日本酒の奥深さと向き合いながらじっくりと飲みたいときにも合わせられる、懐の深いお酒といえるでしょう。
にいだしぜんしゅ めろん3.33 生もと純米中汲み生原酒
独特の製法によって、メロンを彷彿とさせる甘味と酸味を生み出しているお酒です。
この蔵では、無農薬・有機栽培のお米を使い、菌類を添加せずに発酵を進めるという、できるだけ手をくわえない自然に頼ったお酒造りにこだわっています。
そのため、一般的な日本酒よりもしっかりとした酸味や香りが生まれ、これがメロンのような印象を生み出しているのです。
しかし、だからといってほったらかしで造ったようなきつい味わいではなく、ちゃんとバランスがとれていて全体的に優しい口当たりです。
また、酒名についている「3.33」とは「三段+1/3(0.33)段」という意味。
一般的な日本酒の「三段仕込」にもう一段、発酵終了直前に1/3(0.33)だけ原料を追加することで、自然な甘味が強化されています。
ひと口含むと微かに炭酸のようなぴちぴちした刺激があり、雑味の少ないフレッシュな甘味と酸味がじんわりと広がって、まるで良く熟したメロンを齧ったかのよう。
日本酒に苦手意識のある方にこそ、ぜひ試していただきたい銘柄といえるでしょう。
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東一(あずまいち) Nero 純米吟醸
日本酒らしいおいしさを持ちながら、同時に南国フルーツのようなニュアンスも持つ、非常に優れたバランスの銘柄です。
一般的に「フルーティな日本酒」とされる銘柄は、強めの吟醸香や甘味、酸味などが特徴のものが多く、相対的に日本酒らしさは控えめになりがちです。
しかし「東一 Nero」の場合、しっかりとしたお米の旨味が感じられ、ここにバランスよく甘味や酸味が乗ることで、日本酒らしさとマンゴーなど南国フルーツの印象が同時に成立しています。
これを可能にしているのは、加水していない原酒の状態でアルコール度数が13%になるように調整する独自の製法。
日本酒らしい濃縮された味わいながら低アルコールで口当たりは優しく、インパクトは強すぎないものの十分な甘味と酸味になっています。
ジュースのようなフルーティさではなく、あくまで日本酒としてのおいしさを感じられるフルーティなお酒を探している方には、絶対に試していただきたい銘柄です。
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東洋美人 一歩-IPPO 山酒4号
フルーティで華やかな飲み口ながら、鋭いキレと透明感のあるお酒です。
東洋美人の「一歩-IPPO」シリーズは、原料米に単一の品種を使用しその特徴を引き出したお酒です。
いずれもフルーティさを感じられる良酒ですが、中でもこの「山酒4号」というお米を使用したタイプは、メロンのようなジューシーなフルーティさが特徴。
自然な甘味も持つのですが、バランスの良い酸味がすっきりとしたキレを感じさせてくれるため、甘ったるさやしつこさは皆無です。
あえてラベルなどには表記されていませんが、スペック的には「大吟醸」に分類されるお酒なので、雑味の少ない透明感ある口当たりになっています。
華やかな吟醸香はきつさを感じない程度に抑えてあり、フルーティながらも飲みやすいお酒です。
一般的な日本酒はもちろん、フルーティな銘柄でもインパクトの強いものは得意じゃない、という方におすすめできる銘柄です。
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千福 夏くじら 純米吟醸
酸味と甘味を強化することで、果物のような甘酸っぱさを表現したお酒です。
その名の通り「夏においしいお酒」というコンセプトで造られた日本酒で、通常は焼酎に使われる種類の麹を採用することで、他の銘柄ではなかなか見られない強い酸味を実現。
はじけるような味わいは柑橘類をイメージさせますが、香りはどちらかというとリンゴに近くなっています。
じっくり楽しむというより暑い日に海辺で飲みたくなるような、濃厚ながらもすっきりと飲める味わいのお酒です。
濃いめの味わいになっているので、そのままはもちろん、ブロックアイスを使用してロックで飲んでもおいしいですよ。