日本酒造りの際、もろみを絞る上槽の工程の直前に、味の調整や香りを引き出すことを目的として、最大10%までのアルコールを添加します。
特定名称酒のうち、このアルコール添加(アル添)をしていないものを「純米酒」と呼びます。醸造の過程で造られた糖や酸をしっかりと感じられる、どっしりとした飲み口のものが多く、お米らしい甘みや香りを楽しむことができます。
また、純米酒のなかでも精米歩合が60%以下のもの、もしくは他の特別な製法で造られたことを表記してあるものを「特別純米酒」と呼びます。純米酒に比べて雑味が少なく、香りが豊かになる傾向があります。
しかし、アル添=品質が低いというわけではありません。戦後、三増酒という粗悪なアル添清酒が長く出回っていたため悪いイメージを抱かれがちですが、現在はそもそも水増しのために添加しているわけではないのです。
もろみの中で麹と酵母が活躍することで、アルコール以外にもアミノ酸や醸し切れなかった糖が発生します。これは日本酒の特徴である旨味になりますが、多すぎると逆にくどくなり、慣れていない人にとっては飲みにくさの元にもなります。アルコールを少量加えることでこれが緩和され、すっきりとした飲み口になるのです。
特定名称酒の内、精米歩合が70%以下で吟醸酒以外、そしてアル添をしたものを「本醸造酒」と呼びますが、日本酒があまり得意でない方には、こちらのほうが純米酒などより飲みやすいようです。