日本酒は、絞られたあと様々な工程を経て出荷され、消費者のもとへ届きます。この各工程のどの段階か、またどれだけ期間を置いたかによっても、呼び名が変わってきます。
なか取り
荒走りのあと、圧をかけなおすまでの間に搾られる部分。荒走りよりも澄んでいて、雑味の少ない部分です。
責め
上槽の終盤、機械や重しなどで強い圧力を加えて搾る部分。雑味がはいりやすいかわりに、力強い味わいにもなります。
原酒
日本酒は、搾った直後の時点のアルコール度数が18~20度くらいあります。通常はこれに加水し、アルコール度数が15度前後になるよう調整しますが、この加水をしないものを「原酒」と言います。
原酒と言うと「搾った後なにも手を加えていない」という印象を受けがちですが、加水していないだけで、他の処理はしてあります。
生酒
二度の火入れのうち、どちらか、もしくは両方を施していないものです。
搾った直後の火入れをしていないものを「生貯蔵」、出荷直前の火入れをしていないものを「生詰め」、両方の火入れをしてないものを「本生」、もしくは専門用語では「生生」といいます。
つまり、搾ったまま何も手を加えていないお酒を示す表現は「無ろ過生原酒」となります。
古酒
醸造年度をまたいで販売されているお酒。
搾られてから数ヶ月しかたっていなくても、7月1日を過ぎていれば古酒なので、言葉から受ける印象と実態がかみ合わないこともあります。
もちろん、数年から数十年の長期熟成酒も古酒とよばれます。角が取れ、丸みを帯びた旨みを感じられるようになります。
ひやおろし、あきあがり
もともとは、夏の暑い盛りを過ぎた頃、気温が落ち着いたため出荷直前の火入れをせずに卸すことができたことからついた名称で、9月頃に販売を開始する「生詰め」もしくは「本生」のお酒を指します。
性質上醸造年度をまたぎますが、例外的に「新酒」の表記で販売されることもあります。熟成によって角が取れ、火入れが少ない分繊細な味わいを感じることができます。
その他
凍らない程度の氷点下で貯蔵した「氷温貯蔵」、通常よりも長い期間熟成させる「長期熟成」、外界の影響を受けづらい雪室や洞窟内で寝かせる「雪中貯蔵」「洞窟貯蔵」など、日本酒の世界には様々な、知恵と工夫を凝らした貯蔵法・熟成法があります。
地元の蔵元や好きな銘酒がどんな工程を経ているのか、ぜひ一度調べてみてください。