吟醸酒と大吟醸酒

日本酒と米

 特定名称酒の内、精米歩合が60%以下で吟醸造りをしたものを「吟醸酒」、50%以下のものを「大吟醸酒」といいます。

 吟醸造りとは、精米歩合の低い米を使って長期低温発酵させるもろみ造りの手法のことです。精米歩合が低い米で仕込んだもろみには、の作った糖以外の栄養素、つまり米由来のアミノ酸などがほとんど無い状態になりますが、これは酵母菌にとっては住みづらい環境なので、酵母自身が生存していくためにアミノ酸やリンゴ酸などの有機酸を作り出します。

 これが吟醸酒独特の香り、いわゆる吟醸香を生み出すのです。吟醸酒は元々、品評会に出品するために「吟味して醸す酒」を指していました。精米技術や温度管理の関係で、市場に出せるほどの生産量を確保できなかったのです。

 しかし、竪型精米機の発明など技術面の進歩と、吟醸造りに適した酵母の開発により、安定して大量に造ることが可能になり、1970年代以降から一般にも出回るようになりました。

 揮発性の有機酸による吟醸香は、花や果物にたとえられるほど甘くて華やかで、日本国内だけでなく海外においても高い評価を得ています。レストランなどで、大き目のワイングラスなどで香りを楽しみながら飲むスタイルが人気を集めているようです。

ワイングラス

 ちなみに、吟醸酒でもアルコール添加の有無があり、添加していないものは「純米吟醸」「純米大吟醸」と呼びます。

 ただ、吟醸香の元になる成分はアル添の方が多くなるので、「吟醸」に対して「純米吟醸」のほうが香りが控えめになります。