事前に体調をしっかり整え、二日酔いにならない方法を調べ、飲みすぎてはいけないと自分に言い聞かせながら飲み始めても、酔いが進んで楽しくなってくるといつのまにかペースが上がり、気がついたらぐでんぐでん、なんてことも多いのがお酒の怖いところ。
分かっていたはずなのに迎えてしまった二日酔いの朝に、少しでも楽になる方法を見てみましょう。
できれば、あまり活用する機会がないことを祈りつつ・・・。
寝る
二日酔いの症状は「胃や腸の粘膜の荒れによる不快感」「アセトアルデヒドによる感覚異常」「脳の浮腫みによる頭痛」「アルコールが引いたことによる嫌悪感」などを中心に様々ありますし、その強弱も人それぞれです。
しかし、共通して言えるのは「体内でアルコールとその分解物質による異常が発生しており、その復旧が進んでいるが起床に間に合わなかった」ということです。
横になっていれば、体はアルコールの分解・排出に集中できますし、諸症状も緩和されます。
二日酔いの最中は、病気のときと同じようにできるだけ安静にしているのが一番ということですね。
実現するのは、なかなか難しいかもしれませんが。
水分を摂る
アルコールの体内での分解には本来水は必要としません。
しかし、実際にはお酒を飲んだ次の日の朝は、のどが渇いていることが多いはずです。
これは、アルコールによる体温と心拍の上昇や発汗作用、利尿作用などにより、水分が失われているからです。
この軽い脱水症状自体も二日酔いの症状を引き起こしますし、体中に運ばれてしまったアルコールやアセトアルデヒドを肝臓まで運ぶのにも水分が必要です。
また、胃液の異常分泌による吐き気も、水を飲むことで緩和することができます。(飲み物によってはその刺激が逆効果になることもあります)
一度にたくさんでなく、一口二口でも、こまめに水分を補給するようにしましょう。
ただし、冷たい飲み物は内臓を冷やしてしまうため、常温か暖かいものを選びましょう。
熱いシャワーを浴びる
水分を摂って安静にしていてもなかなか症状が引いていかない場合は、シャワーを浴びてみましょう。
発汗が促され血流量が上がり、体温が上昇することで内臓などの働きが活性化します。
ただし、遅くまで飲んでいてあまり時間が経っていない場合や、水分をあまり摂っていない場合は、残っているアルコールが急激に回ったり脱水症状を起こしたりして悪化する可能性があります。
また、足元がおぼつかないほどアルコールが残っている場合に無理に入浴すると、転倒して怪我をする可能性もありますので、注意が必要です。
軽食を取る
二日酔いの朝は食欲などない、という場合がほとんどでしょうが、それでも何かしらを食べるようにしましょう。
よほど激しく嘔吐した場合以外、胃の中には最後に食べたものが残る傾向があります。
お酒そのものやその匂いのするものが残っていると不快感の原因になり、なかなか回復することができません。
水分の多い果物やゼリー、ちょっとした軽食などでよいので、朝食を摂って胃をリフレッシュしましょう。
当然ですが、辛いものや油っぽいものなど胃腸に負荷をかける食べ物は逆効果ですので、いくら好きでもこのときだけは控えましょう。
お腹を暖める
お酒や肴の種類によっては、胃腸が冷えてしまうことがあります。
そのままにしておくと内臓やそこで働く酵素の働きを阻害し、二日酔いの症状からの回復が遅れてしまいます。
また、アセトアルデヒドによって副交感神経優位になっていると、内臓の働き自体が抑制された状態になります。
湯たんぽや毛布、ホットのペットボトル飲料などをあてて腹部を暖めてあげると、不快感も和らぎ少しずつ楽になります。
積極的に暖めるのが難しい場合でも、お腹を冷やすことだけは避けるようにしましょう。
胃腸薬やドリンク剤を飲む
二日酔いの朝にまず試すものといえば、粉末・液体に関わらず胃腸薬、というイメージが強い方も多いと思います。古くから定番の対処法とされており、今でも忘年会などのシーズンになるとたくさんのCMが流れますね。
また、最近はウコンエキスなどの肝臓の働きを助けるドリンク剤もいろいろと販売されています。
胃腸薬については、アルコールで荒れた胃腸の状態を正常に近づけ、独特の清涼感で不快感を緩和する効果があり、吐き気などの症状には有効といえます。
ただし、感覚異常など他の理由による吐き気の場合は効果が得られません。
ドリンク剤についても、効果の現れ方には個人差があり、とてもよく効くという人から気休めにもならない人まで様々なのが実情です。
効果を過信せず、あくまで補助的に用いるべきでしょう。
なお、薬でも二日酔いの症状の頭痛に対して頭痛薬を服用するのは、肝臓に大きな負荷がかかる可能性があるので、できるだけ控えたほうがよいようです。
番外編:効果が期待できないこと、逆効果になる恐れのあること
二日酔いの対処方法については、その国や地方ごとに様々なものが伝わっています。
「大量のストロングコーヒーを飲む」
「紅茶のお風呂につかる」
「鶏の頭を黒焼きにして煮込み、そのスープを飲む」
「サウナに入った後、湖で泳ぐ」
「うめぼしの種を取り除き、眉間とこめかみに摺りこむ」
などなど。
なかには効果のありそうなものもあり、いちがいに効果なしとはいえませんが、大半は迷信的なもので効果はあまり期待できません。
また、広く知られている対処法の「迎え酒」については、単に再度酔って脳が麻痺しているだけです。
実際に一時的にでも二日酔いの辛い症状が治まるため、今でも実践する方がいますが、懸命にアルコールを取り除こうとしている体にさらにアルコールを投入することになり、肝臓はもちろん脳にも負荷がかかります。
常態的にアルコールが体内にあることに慣れると、アルコール依存症やアルコール性痴呆症などのリスクも高まってしまうので、注意が必要です。
ただでさえ苦しい時には藁にもすがってしまう気持ちになりますが、効果の危うい都市伝説的な民間療法に安易に手を出したりせず、効果の確認されている方法で辛抱強く回復を待つほうが、結局は近道のようです。