楽しい飲み会の中で友人たちの飲むペースについていけなかったり、色々な種類のお酒を試したいのに少ししか飲めなかったり、さらには二日酔いの朝を迎えたりすると、「もっとお酒に強くなりたい」と思うこともありますよね。
お酒に強い人(特にある程度以上年配の男性)に聞くと、「俺も昔は飲めなかったけど、仕事の付き合いとかで無理やり飲んでるうちに飲めるようになった」とか「はじめは下戸でも、訓練すると飲めるようになるよ」という答えが返ってくることがありますが、これは本当なのでしょうか。
お酒に強い人と弱い人を分ける、次の3つの観点から考えてみましょう。
アルコール分解能力
別のページでも書いたように、アルコールを分解してくれる酵素の働き方は主に遺伝で決まります。
アルデヒド脱水素酵素が活性型の人ならば何の問題もない分量のアルコールでも、低活性型や非活性型の人にとっては毒物をあおるに等しい危険物になるのです。
これは飲酒の経験をつむことで改善できることではありませんので、筋トレをするようなつもりで深酒を続けてもまったく効果はありません。
飲酒技術
お酒を飲み始めたばかりの頃は、自分がどれくらいの分量を飲めるのか、どんなペースなら泥酔しないのかといったデータが乏しいため、どうしても飲みすぎてしまう傾向があります。
しかし、何年も経つうちに経験値がたまり、「このペースで飲むと気持ち悪くなりそうだな」「これ以上飲むと明日に残ってしまうからそろそろおしまいにしよう」という判断ができるようになります。
また、空腹のままだと悪酔いするので一緒に食事もとる、お酒を飲むときには同量の水を飲む、といった工夫も憶えていきますので、悪酔いを経験する回数は歳を重ねるごとに減っていくでしょう。
こうした飲酒技術の向上という面で言えば、訓練で飲めるようになる、というのも間違いではないと言えるでしょう。
アルコール耐性
アルコールが血液に乗って脳へと回った時、通常はアルコール濃度に比例して麻痺が起こり「酔い」の状態になりますが、頻繁に飲酒していると脳細胞が刺激に慣れ、耐性が付くことがあります。
こうなると同じ血中アルコール濃度でも麻痺が起こりづらくなるため、お酒に強くなったように錯覚しますが、実際には分解能力が上がっているわけではなく、脳が鈍くなっているだけです。
アルコールやアセトアルデヒドが体内に滞留する時間も、それらが体にかける負担も変わらないため、飲めるからといって以前よりたくさんのお酒を飲むと、その分からだへのダメージも大きくなります。
場合によってはアルコール依存症になってしまうこともありますので、十分注意しましょう。
いかがでしょうか。
まとめると、
- アルコールを分解する酵素は遺伝的に強さが決まり、鍛えられない。
- 飲み続けることで得られるアルコール耐性は、見かけ上だけのもの。
- 飲みすぎないペース、体に負担をかけない飲み方を知るのは有効。
ということですね。
お酒に強くなりたい方は、体質的に強くてがぶがぶ飲む人よりも、ほろよいを維持する上手な飲み方をしている人を真似してみると、良いかもしれません。