東北地方は、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の6県からなります。
全体的に気温が低く、積雪量が多いのが特徴で、近代的な設備が登場する前から、低温長期発酵が必要になる吟醸造りも適した、日本酒造りの盛んな土地でした。
その為、日本三大杜氏のひとつ「南部杜氏」を擁し、雪室での超低温熟成など独特の技術が発達しています。
東北地方での日本酒造りの歴史は古く、現存する東北最古の蔵元は創業から500年以上も経っており、それ以外にも江戸時代初期から続く、2~300年以上の蔵元がたくさん残っています。
しかし、2011年に起こった東日本大震災では多くの蔵が被災し、代々受け継いできた蔵の倒壊や半壊、沿岸部では津波による被害、そして原発事故で非難を余儀なくされるなど、いくつもの歴史的な蔵元が廃業に追い込まれてしまいました。
それでも、地元や同業者同士で助け合い、規模の縮小や移転などはあったとしても、なお酒造りを続けていくことを選択した人々もいます。彼らにとって、酒造りとはそれほどまでに情熱を燃やすに値する仕事なのでしょう。
東北地方には白神山地、北上山系、蔵王山系などの幾つもの山々が連なり、そこから湧き出る河川の伏流水や地下水がおいしいお酒の原料となります。
酒米についても、美山錦、吟ぎんが、華吹雪など個性的豊かな品種が使用されており、しかももともと米どころである地方が多いためか、地産米、もしくは自作米にこだわっている蔵元も多くあります。