現在、明治時代に歳入の2割以上を酒税に頼っていた名残で、日本ではもろみを絞っていないお酒、いわゆる「どぶろく」は基本的に販売してはいけないことになっています。
例外として、祭事で必要としていたり、明治以前からの土地の名物だったと認められた一部の地域が「どぶろく特区」として、その時期や地域の飲食店などで出す場合のみ認められていますが、基本的に販売は認められていません。
ですので、現在販売されている濁り酒は「絞っていない酒」ではなく、「荒く絞った酒」、もしくは「絞った後に酒粕を混ぜた酒」のことと言えます。
麹やお米が残っているのでご飯のような甘みや旨みが強く、辛口が苦手な方にもおすすめです。
さて、どぶろくもまだ禁止されていなかった江戸時代以前、お酒は全て樽で仕込まれ樽で流通していました。
しかし、タンクや瓶詰めが主流になると扱いの難しい樽は使われなくなり、逆に樽を用いて貯蔵したり熟成させたものを「樽酒」として区別するようになりました。
樽酒に使用される樽は基本的には杉樽です。これで貯蔵・熟成したお酒には、独特の杉の香りが移ります。香りを楽しむため、冷やからぬる燗の間で飲まれることが多いようです。
日本酒の世界では、一年を7月1日から翌年6月30日としてみなします。これを醸造年度(BY)と言います(年数は和暦を使用します)。
例えば、2014年(平成26年)7月1日から2015年6月30日に醸造されたお酒は、「26BY」のお酒ということになります。
この醸造年度をまたいだもの、つまり6月30日以前に絞られ、7月1日を越えたものを「古酒」と呼びます。
日本酒はもともとあまり長期の熟成には向かないお酒と言われますが、あえて夏を越えて熟成させ、涼しくなる初秋の頃に出される「ひやおろし」「あきあがり」など、絞りたてより時間を置いたほうがまろやかになっておいしい造りのものもあります。