日本の人口は21世紀初頭にピークを迎え、その後少子化・高齢化に伴って減少に転じました。
そして今後少なくとも数十年間は、減り続けることがほぼ確定しています。
苦労して人員と原料を確保し、工夫と努力を重ねておいしいお酒を造っても、飲んでくれる人がいなくては意味がありません。
縮小し続けるマーケットでシェアを取り合うのは、まるで椅子取りゲーム。
いつか限界を迎えることがわかっている競争からは、できるだけ早く抜け出さねばなりません。
ここ十数年の間に、インターネットでの品物の売買は飛躍的に進歩を遂げました。
かつては、よほど有名な蔵のお酒か大手酒蔵のお酒でなければ、他地方で情報収集をするのは難しいのが当たり前でしたが、ネット上では全国各地の様々な蔵の情報に触れることができます。
情報の形式にしても、各蔵のHPはもちろん、特集記事や地方自治体のアピール、さらに個人ユーザーのレビューまで、目的に合わせて検索することができます。
販売サイトも、デパートのように何でもそろう大手の総合販売サイトから、蔵元が直接運営する通販ページまでよりどりみどり。
送料などの価格を抑えたいのか、すぐに手に入れたいのか、発送直前までしっかりとした品質管理がされていることを重視するのかなど、ニーズに合わせた買い物ができます。
そして、インターネットの最大の強みは、ウェブにつながれば世界中からアクセスできることです。
日本食に対する関心の高まりと、輸出黎明期から試行錯誤を繰り返している蔵元たちの努力の甲斐あって、近年の日本酒輸出量は国内の消費量低迷などものともしない勢いで伸びています。
海外市場は、単純な人口比でも国内の数十倍の規模があり、興味を持つ人々はいるのに商品はあまり出回っていない未開拓地です。
現在は、さすがに海外発送にまで対応するショップはほとんどないようですが、このまま需要が増え、輸出されているお酒の消費量が伸び続けるなら、ずっと今のままということはないでしょう。
海外に中長期で滞在中や、逆に国内から海外にいる友人へ贈り物をしたいときなど、近所で買い物をするような気軽さで日本酒を送ることができる日も、そう遠くないかもしれませんね。
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いかがでしたか?
確かに、日本酒にまつわる様々な問題は、いま日本の社会に渦巻いている問題点と同じように一筋縄ではいかないものばかりです。
しかし、酒造りに携わる人々、そして原料の生産者や消費者などの日本酒ファンたちは、それでもあきらめてなどいません。
様々な角度から解決策を模索し、試行錯誤し、失敗してもさらに次のチャレンジを続けて、はるか昔からこの国で愛され、各地の風土にしっかりと根付いてきた日本酒という文化を、そしてそのおいしさを、なんとか後世に残そうと頑張っているのです。
その努力は、ちょうど日本酒造りがそうであるのと同じように、いつか必ず報われ、受け継がれてゆくはずです。
造る側も飲む側も奥の深い日本酒の世界。
これからも、おいしく楽しみながら応援していきたいですね。