かつて日本の中心地であり、現在もその歴史を色濃く受け継ぐ日本最大の古都、京都。
そこでお酒を醸す蔵も、当然のように国内有数の大蔵元が集まっています。
江戸時代に、いまの兵庫県にあたる灘の酒が台頭してくるまで、京都・伏見は長らく日本で一番の酒処でした。
とはいえ、いまや海外からも多くの観光客が訪れる大都市となった市内で昔のような酒造りを続けるのは難しく、かつては100件以上の蔵がひしめいた洛中に残る蔵元は少数。
かわりに、「月桂冠」「黄桜」「宝酒造」など、生産量トップ10に入る巨大企業となった酒造会社が京都の酒造りをリードしています。
政治の中心地の移動と主要流通経路の変化、戦争による窮乏と戦後の三増酒、経済の発展と日本酒需要の急激な減衰、そして量より質が重視され、国内から海外へ販路の広がる現在。
古い歴史を持ちずっと日本酒業界の中心地であった京都は、幾度もの大きな変革を乗り越え、時代に合わせてあり方を変化させてきました。
日本全体でうねるような変化が起こっている今、京都の酒蔵もまた次の形を模索しています。