絞った直後の日本酒は、もろみに含まれていた細かな不純物(滓)が残っており、色も無色ではなく透明な黄金色をしています。
また、酵母や酵素がまだ活性状態で、そのままだと変質が進んでしまうため、滓引き(しばらく安置して滓を沈殿させ取り除くこと)、濾過、火入れを施して、透明で安定した状態にして出荷します。
この、絞った後の工程を省いたものを「生酒」「原酒」と呼びますが、どの工程を省いたかでそれぞれ名称が変わってきます。
生貯蔵
滓引き、濾過のあと、火入れをせずに貯蔵したもの。出荷前に火入れをします。
生詰め
滓引き、濾過のあと、火入れして貯蔵し、出荷前の火入れをしないもの。秋口に出荷されるものを「ひやおろし」とも呼びます。
生酒
貯蔵前も出荷前も火入れをしていないもの。滓引きと濾過はしてありますが、酵母が生きているので厳重な温度管理が必要な、本当の意味での生です。
原酒
滓引きをした後、濾過する前の上澄み。火入れはします。加水していないので、アルコール度が高めです。
生原酒
原酒を、火入れせずに瓶詰めしたもの。清酒本来の黄金色を残しており、蔵で絞りたてを飲むのに近い味わいを楽しめます。
輸送、販売時の温度管理技術が向上したため、元は造っている蔵まで出向かなければ飲めなかった生酒や原酒が市場に出回るようになっています。
同じ銘柄で、濾過や火入れでどのように味わいが変わるのか、比べてみるのもいいですね。