現在、国内での出生率の低下からますます少子高齢化が進むことは避けられない状況となっています。
少なくともあと数十年にわたって人口は減少する見込みですし、いまのまま改善されなければ、50年後には現在の半数近くまで減ってしまうという予想もあります。
ただでさえ他のアルコール飲料にシェアを奪われている現状で、さらに母数まで減っていってしまえば消費量がさらに減少していくのは間違いありません。
ただ、人口の変動による本当の問題は別にあります。
それは、現在のメインユーザー層の高齢化です。
日本酒の戦後消費量が最大になったのが1970年代で、この時点で成人を向かえていた人々は現在すでに60代の後半以降に差し掛かっています。
最盛期にお酒の消費を牽引してきた人々が高齢化し、アルコールだけでなく飲食全般で若い頃のような量を求めなくなる一方、従来の世代間継承による新しいユーザー層の取り込みに失敗しているため、今後世代交代が進むにつれて一気にユーザー数が減少していく可能性があります。
さらに、国内の人口減少は全国的な、もしくは地域的な人口の集中につながります。
すると、いままで通り「地域の人々にだけ飲んでもらえれば十分」という、地域密着型の酒蔵の販売手法は、蔵周辺の地域に十分な人口がいなくなることで成り立たなくなるでしょう。
現在は、「旅先の郷土料理や風土に根ざした酒質の違い」「この地域独特の味」などを楽しむことができますが、何の手も打たなければ今後こういった楽しみ方は次第に難しくなっていくはずです。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
こうして問題点を列挙していくと、日本酒の未来がうんと暗いように思えてきてしまいます。
もう、どんどんおいしいお酒は減っていってしまうのでしょうか。
いつか日本酒が、めったに飲むことのできないような希少な存在になってしまうのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
なぜなら、お酒造りに携わる人々、また日本酒ファンの人々によって、問題を解決するための様々な新しい取り組みが行われているからです。
次のページでは、その点について具体的に見ていきましょう。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------