上級編 印刷する

理由があって料理はできないのだけど、おいしいでお酒が呑みたい。
とても良い日本酒が手に入ったので、ここはふさわしい肴を用意してしっかり楽しみたい。
そんな時、近所のコンビニで適当なかわきものを買って…なんて気分にはならないですよね。
ここでは、普段のお酒をおいしくし、おいしいお酒をさらにパワーアップさせてくれる肴の買い方について考えてみましょう。

1、「お取り寄せ」を利用する


魚や動物の肝を利用したり、食材を塩や酢などで長期間漬け込んだり、燻製にしたり。
普段あまり口に入らないようなものや、あまり一般的ではない方法で処理した食べ物、特に味や香りにくせのあるものを「珍味」と称します。

初めて食べるときにはあまりおいしく感じなかったり、むしろ苦手に感じたりするものも多いのですが、なぜか繰り返し口にするたびにだんだんと病み付きになり、やがて最初は苦手だったくせこそがおいしさのポイントと感じるようになったりします。
そして、珍味は得てして日本酒(特に純米酒山廃など、旨みの濃いもの)の肴として非常に優秀です。


まだウェブでの通販が一般化する前、珍味と呼ばれるようなものは簡単に買える物ではなく、大都市のこだわりの店に行くか、デパートの物産展など限られた機会に購入するしかありませんでした。
もちろん、今でもそういったアナログな手段で手に入れることもできますが、ネット通販を利用すれば、もっと簡単に、思い立ったときに探すことができます。


すでに購入したい物が決まっている場合は、名称を検索すれば大抵のものは見つかるでしょう。
見つからなかった場合、もしくは具体的に決まっていない場合は、「塩辛」「漬物」「燻製」「干物」など、それっぽいワードでかかったサイトを探っていくか、大手のショップのサムネイルから、直感的に選んでみるというのもいいかもしれません。
もしかすると、いままで知らなかった新たな味に出会えるかもしれませんよ。

ちなみに、上に挙げたようなくせのあるものをあわせるのは、醇酒熟酒にしたほうが良いでしょう。

2、お酒の産地の名産を調べる


全国の地酒が手軽に手に入るようになったのはごく最近のことで、日本酒の長い歴史のほとんどでは、お酒は地元で消費されるか、下り酒などある程度決まった場所で飲まれることを想定したものでした。
日本酒の味は米、水、酵母にかなり左右されるとはいえ、売れるお酒を造るにはその地域の食べ物や好みに合った酒質にしていかねばならず、各地の杜氏に伝わる技もそれに合わせて磨かれてきました。
逆に言えば、お酒の産地で食べられているものこそ、本来そのお酒に一番合う肴と言えるのではないでしょうか。

呑もうと思っているお酒がどんなタイプのものか把握して、それにはどんな種類の肴が合うかわかったら、早速調達しに行きましょう。
例えば同じ海の幸でも、さっぱりとしたお刺身を良く食べる地方と、醤油味噌でこってりとした味の煮物にするのが好まれる地方では、合う酒質はまったく違ってきます。

別に、「本物の郷土料理を入手するため、お酒のふるさとへ!」などと奮起する必要はありませんが、どんな地域で生まれたお酒か、その土地ではどんな飲まれ方をしているのかを知るのは、場合によっては日本酒度酸度などの数値だけの情報よりよほど有益です。

最近では、蔵元や酒造組合のHPでその地域の特色が解説してあることも多く、時には郷土料理の簡単なレシピが載っている事もあります。
それらを、ちょっとだけ時間を割いて確認することで、合わせる肴の方向性はしっかり固まるのではないでしょうか。

3、調味料


むかし、「日本酒の通(つう)は、の角に塩を盛って、それだけを肴に酒を飲むのだ」という話がありましたが、別にそこまで思い切らずとも、おいしい調味料類は実は酒の肴にとてもよく合います。

例えば、味噌や醤油は日本酒と同じ発酵食品、しかも使用する麹も同じ「黄麹」です。
原料や醸造過程は違っても、やはり親和性が高いといえるでしょう。
また、日本酒に含まれる五味(甘・辛・苦・酸・渋)には塩味がなく、しょっぱい食べ物はバランスのよい日本酒の旨みをさらに補完し、旨味や甘味に慣れた舌をリセットする効果があるのです。

ただ、調味料そのものをなめたりするとどうしても口に入る分量が多かったり食べ辛かったりするので、千切りにした味の薄い野菜や小さく切ったお豆腐などにつけて食べるようにするとちょうど良いでしょう。

また、どれにするか選ぶ際には、製法や原材料もしっかりチェックするべきです。
特に味噌や醤油などは、昔ながらの伝統的な手法で作られているものばかりではなく、むしろ一般的にスーパーなどで売られているものだと、化学調味料などが添加されているものが多くあります。
それが即悪いというわけではありませんが、日本酒の繊細な味わいを阻害してしまう可能性があります。
せっかく丁寧に造られたおいしい日本酒を飲むのですから、合わせる肴としての調味料もそれに見合ったものを選ぶべきでしょう。
ちょっと高いと思うかもしれませんが、味の違いを知ったらきっと納得できるはずです。