日本酒と健康の関連性 印刷する

 二日酔いやアルコール依存症など飲みすぎると怖いアルコールですが、適量のお酒は心身の健康を促進してくれると言われています。
 では、具体的にどのような効能があるのでしょうか。
 ここでは、からだに対する効能、こころに対する効能、そして適量とはどれくらいのことをいうのかについてみてみましょう。

からだに対する効能


 「酒は百薬の長」ということわざがあります。
 栄養状態の悪い人が多かった時代には、栄養価が高く身体を温めてくれるお酒は、病気で弱っているときの栄養補給の飲み物として薬以上の働きをしてくれたことでしょう。
 しかし、栄養的にはむしろ摂りすぎな現代においても、日本酒にはからだを助けてくれる健康的な作用がいくつもあります。

 ひとつめは、血管の拡張による血行促進です。
 アルコールを摂取し血液中に回り始めると、血流が増すのにともない血管がひらきます。
 普段血液が行き渡りにくい毛細血管まで血が流れていくため、酔っ払うと顔や体がほんのり(人によっては真っ赤に)色づくのです。
 血液が身体全体にいきわたることで、老廃物の排出や酸素・栄養素の供給による細胞の活性化、疲労回復などが期待できます。

 また、食欲増進の効果も馬鹿にはできません。
 普段はあまり食べる方ではないけれど、お酒を呑みながらであれば普段よりたくさん食べてしまう、という方も多いはず。
 アルコールの刺激や体温上昇などから胃腸の働きが活発になり、消化液の増加、消化活動の活発化により食欲が増すのです。


 病気のときはもちろん、遅くまで仕事をしていて疲れから食欲が落ち、食べずに寝てしまうことで回復もしきれない、というような悪循環に陥っている方は、少しだけお酒の力を借りてみるのも良いかもしれません。

こころに対する効能


 からだへの効能はもちろんですが、適量のお酒はこころにも良い効果をもたらします。
 そのもっとも大きなものは「ストレスの緩和」です。

 アルコールが血液に乗って脳まで回ると、一番外側の大脳新皮質から順番に麻痺が起こります。
 大脳新皮質系は論理と理性を司っており、ここの機能が弱まることで状況や立場といった論理的・社会的な自己規制が緩み、ストレスが緩和されるのです。
 また、同時に普段押さえつけている感情が表面に出やすくもなります。
 交感神経優位のからだに誘導されて気分が良くなり、会話を楽しんだり大笑いするのももちろんですが、溜め込んだ気持ちを吐き出し、時には涙を流すこともストレスから解放されるには大切なことです。
 度が過ぎてはいけませんが、感情を吐き出すのはこころの健康のために良いといえます。
 ただし、嫌なことを忘れるために呑む「やけ酒」については、酔いが急速に進んで危険なだけでなく、アルコール摂取前の記憶を強化してしまうという研究結果もあり、逆効果になる可能性が高いため控えたほうがいいでしょう。

適量ってどれくらい?


 さて、ここまでお酒の効能を見てきましたが、これらはすべて「適量の」お酒を呑んだときの効能です。
 どんな薬も必要以上に摂取すると身体に負荷をかけるとの同様、お酒も飲みすぎてしまえばからだにもこころにも単純に毒です。
 例えば、二日酔いから肝臓の病気、アルコール依存症に至るまで、お酒を呑むことの悪い効果は、ある意味良い効果よりもよく知られているといえるでしょう。

 では、「適量」というのはどれくらいのことをいうのでしょうか。
 これは人それぞれのアルコール分解能力や血液量、体質などにもよるため一概に定量化することはできません。
 重要なのは、「体温が上昇し、血流量が増える」「大脳新皮質に弱い麻痺がみられ、感情があらわれやすくなる」状態になることで、これは血中アルコール濃度が0.1%程度のとき、いわゆるほろ酔いの状態といわれています。
 これは日本酒でいうと、通常のアルコール分解能力を持っている人の場合で1~2合程度といえます。

 ただし、一気飲みなど急速にアルコールを摂取した場合血液中に回るアルコール量が増えるため、量が同じでもほろ酔いではすまない場合も。
 体調や事前の食事の有無、体内水分量などにも左右されるため、今日はどれくらいで酔いが回るかということを確かめながら、ゆっくり呑んだほうが良いと言えるでしょう。